会計事務所の選び方

会計計事務所っていっぱいあるけれど、その会計事務所により受けるサービスやその先生の経歴や経歴はまちまち。よって、たかが記帳といってもその作成フローが異なって会社へ負担がかかったりかからなかったり、重要な経営情報がとれる記帳方法だったり役に立たない帳簿だったり、経営アドバイスも先生により全く異なったり…。

また、得意とする分野や不得手の分野があったり、具体的なサービス内容も随分と異なったり、親近感があったりなかったり、報酬だってまちまち…。どこでも一緒と考えることは危険なのではないでしょうか。知合いに紹介してもらうのが無難と思われるかもしれません。しかしながら、知合いの方も結局は少ない情報の中で選ばれ、とても満足しているということより特に問題を感じていないだけで良い事務所を知っていることとは違うことかもしれません。会計事務所とは出来れば長いお付合いをしたいものです。自分の判断で一生懸命自分に合った会計事務所を探してみてください。

まずは背景を…

まずは、ちょっと面倒かもしれませんが、会計事務所業界等について読んで下さい。

1.会計事務所業界

まず、会計事務所業界とはどういったものなのか御説明しましょう。会計事務所は税務・記帳を主とした業務を行う公認会計士、税理士等による個人の事業として通常運営されております。公認会計士、税理士として行なっている場合は、その資格者の個人事業として経営されております。ここで、公認会計士と税理士の違いを説明します。

1-1.公認会計士と税理士
(1)試験
(a)公認会計士

公認会計士は主として監査を行なう為の資格であり、試験は以下の通りとなっています(私が受験した時は1次試験等なく、経済学等は必修でしたが…)。実質的な難関試験は2次試験であり、特徴として全科目の試験結果の総合判定で合否が判定されます。よって、5科目を同時に勉強し続けなければならない為、学生や無職でないと受かり難いと言われています。(=短期決戦型です) 資格合格者は、平成10年3月末(古くてすみません)時点で1万1710名だそうです。

(b)税理士

税理士は税務業務を行なう為の資格であり、試験は以下の通りとなっております。 特徴は1科目づつの試験判定が行なわれることです。この為、1年間における勉強時間が限定される社会人の場合にとっては公認会計士試験より適しているとも言われています。(=長期合戦型かな?)

必須科目 簿記 財務諸表
  法人税 所得税 相続税 酒税法 国税徴収法 道府県民税/市町村民税 事業税
選択科目 固定資産税 の内2科目
  但し、法人税若しくは所得税のいづれかは必修となります。

但し、公認会計士、弁護士、一定の条件を満たした税務署OBは届出により税理士試験を受けずに税理士の資格が与えられます。また、会計学や税法に関する大学院を卒業し一定の条件を満たした場合について税理士試験の数科目を免除されます。

このように試験を受けずに資格取得が出来る場合がある為(特に税務署OBが多いそうです…)、税理士の登録者は平成6年6月現在で6万人を超えているそうです。

(2)実務経験
(a)公認会計士

一般的には試験合格後、監査法人といったところで監査業務 に従事します。そのまま、監査法人において監査に従事し続ける方もいれば(こうした方が過半数です)、税理士の資格を申請(少数ですが、試験を合格している方もいらっしゃいます)した上、独立している方もいます(私は監査法人勤務後子会社でM&A等を行なうグループ会社に在籍後独立しましたので基本的にこのパターンに近いです)。

監査対象の会社は株式公開している会社等相当な大会社であることが通例である為、企業としてあるべき経営管理業務を監査して把握していることが多く、平均して経営管理に関するアドバイスを得手としている場合が多いような気がします。反面、試験における税法が3次試験で法人税に関する部分のみがあるだけであり、監査業務に従事している際においては、使用する知識として法人税が殆どである為、本人次第で税法に関する知識が相当程度異なることになります。

(b)税理士

一般的には試験合格後、会計事務所にて税務申告業務等を経験し続け、そのまま勤務し続けるか、独立後会計事務所を経営することが多いようです。会計事務所により業務範囲が相当程度異なることもある為、以前勤務していた会計事務所においての経験等により得意分野が相当程度異なる場合もあります。

いずれにしろ会計税務業界だけの経験や職歴だけでなく、それ以前の職歴等や各先生方の方針や考え方により、各会計事務所から提供されるサービスは相当程度異なることがあるのでしょう。

1-2.業界動向

会計事務所の殆どは個人経営であり、経営規模も大半が10名以下で、従業員5〜6名のところが最も多いようです。1会計事務所の得意先件数は、100件以下の場合が大半で、全体の8〜9割を占めているそうです。通常、1人で10社〜20社程度を担当している事が多く、普通60-70社を得意先にもっている事務所が多いとのことです。

会計事務所の多くは会社に対する記帳/申告書作成、個人の確定申告を主として、相続税対策/申告業務をボーナス仕事として行なっているのではないかと思いますが、会計事務所の1部については、特別なノウハウを必要としたり巧拙が出るような分野である相続税対策/申告、SPC設立運営に殆ど特化している事務所もあります。

早速ポイントを…

ポイント:どんなことを?=会計事務所の提供するサービスの範囲

実はこのサービス内容については極めて幅広い為、会計事務所にとってそれぞれのサービスについて対応性が以下のように異なるのではないかと思います。

大概の会計事務所で上記(1)として対応出来るサービスは以下のものではないかなと思います。

それ以外の以下に掲げる業務については、会計事務所によって上記(1)乃至(4)での対応と幅広く、その会計事務所のノウハウの程度がピンキリではないのかなとも思います。

上記に記載したものは私がパッと思いついたものだけですので、もちろんもっと幅広い業務内容があります…。

で、このように対象範囲がとっても広い為、全てに精通している方はこの世に1人もいない(いたりして…)と思いますし、もし、相当な範囲をカバーしている先生がいたとしてもその分各分野が薄くなりがちとなってしまいます。当然、特に優秀な先生とそこまでではない(表現が苦しい…)先生がいらっしゃいますので、やっている範囲が広いからその分薄くなっているとばかりは言えませんが…。また、もちろん規模が大きい事務所であると知識・経験を多く有している可能性は高くなる傾向にあるでしょう。またここに挙げた仕事は知識・経験上の積上げが難しく参入が困難な面がありますので、各会計事務所のノウハウはその先生の過去の経歴や力の入れ方に大きく依存することになります。

こうした点を踏まえて、あなたは付き合う会計事務所が何のノウハウを持ってくれていると助かるのかといった点を考えた上、この会計事務所は何のノウハウをどの程度有している事務所なのかといったことを照らし合わせると良いのではないかと思います。と言われても特にこの会計事務所は何のノウハウをどの程度持っているのかなんてことを把握することは難しいでしょうから、あなたが持っていて欲しいと思う会計事務所のノウハウを前述した業務内容からピックアップした上、候補とした会計事務所にその業務内容について過去行なった具体的な案件がどんなものだったのか等をそれとなく聞いてみると良いのではないでしょうか。(ちなみに具体的な案件について聞かないと私もそうですが、仕事欲しさに「対応可能です!!!」なんて言ってしまいます)